それから私は「腸管免疫」が面白くなって、
その解剖学の教室や細菌学の教室に通いながら
どのような食品成分が
腸管免疫を刺激するか調べるようになりました。

それまで、栄養素や腸内環境が
健康にとても大切だとは頭でわかっていたのですが、
実際に実験を通してこれらの
ストーリーが結びついてくるのが
とても楽しかったのです。

ここで色々な論文も読みましたが、
「免疫」というキーワードは
常にアレルギーと癌が関係しているので、
当然ながら腸管免疫とアレルギー、
癌に関する研究成果もたくさんあるようでした。

例えば、アトピー性皮膚炎は
腸内のカンジダ菌が異常増殖していることに関係があるようです。

また、腸の炎症や悪玉菌による毒素の
産生などが発癌などにも関わっているようです。

日々の食生活でとても大切な栄養素が
ここまで健康や病気に関係していることに
ちょっとした感動を覚えました。

そこで、私自身も
「お腹に良い」
と言われる乳酸菌飲料やヨーグルト、
オリゴ糖などを試すようになりました。

しかし、そこでまたふとした疑問が湧き上がってきたのです。
飼い犬が皮膚炎で困っているという
友人が
「それならうちの子にヨーグルトを与えたら良いのかな?」
と質問してきたのですが、
それに対してきちんと答えられなかったのです。

私が大学の研究室に通って色々行った
腸管免疫の実験はマウスのものでした。

当然、人間とマウスでは腸内細菌の
種類も違うでしょうし、食べ物も違います。

また、必要とする栄養素のバランスなども異なるでしょう。
同じようにワンちゃんと
人間では腸の仕組みや必要とする
栄養素のバランスも違うはずです。

これらのことがきっかけとなって、
私の興味の対象は「ワンちゃんの腸の健康」
へ発展していったのです。