異常があってもすぐに症状が出ず、病気に気が付きにくいことから肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれることがあります。

その為、何らかの症状が見られ始めた場合は肝臓に異常が起きてからかなりの時間が経っていることもあります。

 

肝臓は動物の体内で1500以上もの働きをしています。

そのうち、重要な3つの役割が

<体内に不要な物質の解毒作用>
<栄養素の代謝>
<胆汁の分泌>です。

 

解毒作用

体内で作られたり、体内に入ってきた有害物質を解毒し、無毒化する作用です。

この作用が正常ではない場合、体内にはいつまでも有害物質が残ったままとなります。

 

栄養素の代謝

体内に取り入れられた栄養素は胃や腸で消化吸収され、肝臓へ運ばれます。

肝臓では、この栄養素を体の各部位に必要な形に作り替え、内臓や血液へと送ります。

 

胆汁の分泌

肝臓は消化液である胆汁を分泌します。

作られた胆汁は一度胆嚢(たんのう)の中で貯蔵され、食べたものの脂肪の量に合わせて十二指腸へ放出されます。

 

肝臓へ負担をかけてしまう身近な例が「食事」や「薬」です。

<食事>

例えばドライフードを開封後、しばらく与え続けているとフードをコーティングしている油は酸化し、それを食べることで肝臓は酸化した油を<有害物質>だと認識し一生懸命解毒しようと働きます。

その生活が続くことで肝臓は徐々に負担がかかってしまい、いずれ症状が見られるようになります。

また、食事の種類によっても体にとって不要なものが入っていればそれを与え続けることで肝臓には負担がかかります。その典型的な例は「おやつしか食べない」という子です。

稀にドッグフードを食べず、市販のおやつがメインになっているご家庭がありますが、

過剰に取ることは栄養のバランスも非常に悪く、成分によっては肝臓への負担もかかります。

食事やおやつの種類も選び方や与え方に注意し、おやつも適量を心掛けましょう。

 

<薬>

病院から処方される内服薬を飲み続けると、副作用により肝臓や腎臓へ負荷をかける場合があります。

心配な場合は獣医師と相談しながら治療を行いましょう。

 

また、薬という観点から言うと散歩中や家の中で誤飲したことがきっかけで肝臓に大きな負担がかかることがあります。

例えば散歩中、農薬を使用した場所に入って何かを食べてしまったり、自宅の中で飼い主の薬を誤飲するなどした場合です。

 

食べたかもしれない、と思った時点で動物病院に行き、血液検査をすることで早期治療に繋がることも多々あります。様子を見ることはとても危険です。