ペットのがんは急速に増加しています。
日本獣医がん研究会によると「現在は犬の死亡原因の25%ががん
さらに10歳以上の犬だと50%を占めるまでになってきた」といい
がんの早期発見と治療が大きな課題です。

一般にワンちゃんの治療費用は高いと言われています。
それは、人間と違って健康保険がないために
全て治療費用を飼い主さんが「自己負担」しなければならないためです。

しかし、考え方によっては治療方針や治療内容に融通が効きますし
獣医さんとのコミュニケーションによって納得のできる治療を選択することも可能です。

標準的がん評価として人間と同じ「TNM分類、ステージ分類」をし、治療プラン ( 目標 ) を立てます。

■主な治療プランについて

1 外科的な切除や化学療法などで根治を目標とする (ステージ I )
2 根治の確率はやや低くなるが、転移や増大を抑えることにより QOL を
   維持する (ステージ II ~III )
3 根治は不可能であるが、QOL を維持し、苦痛を軽減し、場合によっては
   安楽死も考える (ステージ IV )

つまり、例えばすでに全身に転移があるのに強引に手術を行い QOL を低下させ
限りある命を短くしてしまったり、ステージ I なのに積極的な治療をしないで
進行を進めてしまうことはあってはならないことです。

どのようながん治療を行うか否かの判断は
飼い主様への十分なインフォームド・コンセント ( 十分な説明に基づく同意 )
がベースにあり、治療方法、寛解・根治率、治療期間、治療リスク、費用全てにおいて
きちんと議論し納得していただいたうえで方針を決めるのがベストです。

また、治療経過を見ながら軌道修正をし、家族、動物それぞれにあった
最良の治療法に近づけていくことが大切です。

下記に一般的な費用を示します。

◇手術費用
 -数万から数十万が一般的

◇抗がん剤投与の費用

-抗がん剤は人間と同じものを投与します。
保健適用外のため一回の投与につき2~3万ほどかかります。
また手術後には数回の投与が必要となります。

◇放射線治療の費用

-「1回約1万~5万円」平均で週5回の4週間で
計20回が目安となっています。

◇入院費用

ワンちゃんの体重などにもよりますが、平均で一日2000~5000円程度です。
サービスを万全にお願いすると一日に1万円かかるところもあります。

少々こじつけになってしまいますが
このようなことになる前に、きちんとワンちゃんと健康、病気の勉強をして
予防、最善の治療を心がけることが大切です。

サプリメントなどを上手に利用することも結果的に治療費の抑制につながります。

動物のがんについての問題は、命と心の問題ではないでしょうか?
我が家に来たときから亡くなるまで、特にワンちゃんの場合は寿命が短いために
必ず家族が死と向き合うことになります。

大人も子供もこの愛するワンちゃんの生涯をしっかり受け止めることが大切になります。

また、ワンちゃんはお金では買えない「たくさんの思い出」をプレゼントしてくれます。
それだけに、最期まで飼い主さんとワンちゃんが納得できる方法で
最善を尽くすことが大切ですね。