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犬のアイコン犬の消化器の病気

動物は毎日食べ物を体内で消化して生きるためのエネルギーに変えています。食べものを摂取する口から始まり、消化して最後に排泄する肛門までの一連の器官を消化器といいます。
人間は体調を崩すとよく消化器の病気になりますが、犬もやはり同じような理由で消化器の病気にかかります。また犬は、食べ過ぎて吐いたり下痢をしたりすることも少なくありません。

●犬の巨大食道症(アカラシア)

巨大食道とは、何らかの原因で食道が広がって大きくなった状態で、アカラシアともいいます。一般にこのとき、食べ物を胃に送ろうとする食道の運動(蠕動運動)が止まります。そのため、とくに食道が拡張していないときでも、蠕動運動が止まっている場合には巨大食道症になります。
症状
もっともよく見られる症状は、食べ物や水を吐く事です。このとき、普通に吐くのではなく、食べ物を遠くに飛ばすような感じで吐きます。吐いたものをまた食べることもよくあります。
巨大食道症にかかった犬の約3分の2は、食道から吐くときに食べ物の一部が肺に入ってしまい、吸引性の肺炎を起こすことが知られています。巨大食道症のおもな死因は、この吸引性肺炎によるものです。
吸引性の肺炎になると、通常、体重も減少します。その他にも、呼吸困難になる、発熱する、鼻汁が出る、咳をするなどの症状がよく見られます。
原因
この病気はあらゆる年齢の犬に起こります。とくに、離乳して間もない子犬によく見られます。また、犬種別では、グレート・デーン、アイリッシュ・セッター、ジャーマン・シェパードがよくかかるようです。ミニチュア・シュナウザーとワイヤーヘアード、フォックス・テリアでは、この病気が遺伝することが確認されています。性別による違いは特にありません。
原因は、病気そのものによって食道が大きくなる場合と、何らかの病気によって二次的に食道が大きくなる場合に分けられます。前者には、重症の筋無力症や多発性筋炎など、筋肉が非常に弱くなる病気や、副腎皮質機能低下症(アジソン症)などの病気があります。
また、食道内に異物が入りこむ、食道炎にかかる、食道が狭くなる(狭窄)、食道の腫瘍や食道周辺の血管に以上が起きる、食道の一部に膿がたまる(膿瘍)、食道がひどく締め付けられる(嵌頓)などが原因となって、食道が大きくなったり、食道の蠕動運動が止まってしまうことがあります。
治療
完全な治療は難しいので、食事を注意して食べさせることによって吐出を抑えます。それには、犬の前足を台や階段の段上にかけさせ、頭を高い位置に上げて食事を与えます。こうすれば、重力の力を借りて、食べ物を食道から胃に移動させることができます。
また、犬の体の大きさにもよりますが、犬を背負って誰か肩越しに前側から食事を与えてもらいます。
できれば食べ終わって後の15分〜30分は、頭を45℃から垂直に持ち上げたまましておきます。おとなしい犬なら、細長い箱をつくって、食べた後はその中に30分くらい入れておくと良いでしょう。
食事は症状や犬の種類によって、どのような固さが良いかが違ってきます。一般にドッグフードを水やお湯でふやかしてから食べさせると消化がよくなり、吐く事も少なくなるようです。しかし、固いものとやわらかいもののどちらが吐きにくいかは個体差があります。
死亡の原因は何といっても吸引性の肺炎なので、その治療を徹底的に行わなければなりません。それには通常、抗生物質が使われます。
この病気は経過がかなり悪いものと言わざるをえません。約70%の犬が最終的には死亡してしまいます。そのうち80%は病気になってから1年半以内に死亡してしまいます。
食道の一部を短くするとか、切開するといった手術もかなり以前から行われていますが、その結果、効果が見られるのは一部の症例においてのみのようです。

●犬の急性胃炎 きゅうせいいえん

胃の粘膜が炎症を起こす病気です。急性胃炎になると、犬は何度も嘔吐をくり返します。
症状
胃の内容物をくり返し吐きます。水をたびたび飲んで、さらに嘔吐を繰り返すこともあります。その結果、体内から水が失われて脱水症状になります。また、吐いたものの中に血が見られることもあります。
原因
腐った食べ物や毒物、毒素、草、木、ゴミ屑などの異物がもとで急性胃炎になります。
また、獣医師の与えた薬などが原因になることもあります。これらが胃の粘膜を刺激すると、延髄にその信号が送られ、反射的に嘔吐が起こります。
腐った食べ物を何度も食べた場合には、細菌や毒素などが複雑に関係します。症状がひどい場合には、死亡することもあります。
農薬や殺虫剤、ヒ素剤、カリウム、鉛などは全て毒物として働きます。
急性胃炎の原因となる植物には、キョウチクトウ、ポインセチア、ヒヤシンス、スイセンなどの毒素をもつものが挙げられます。また、アスピリン、インドメタシンなどの抗炎症薬で胃炎になることがあります。
嘔吐の回数が増えると、水を飲む回数も増え、これがまた嘔吐につながります。その結果として犬の体内から水分が失われることになります。
治療
治療は嘔吐と吐出を見分けることから始まります。そして、嘔吐によってどれだけ水分が失われているかを見定めることが治療の重要なポイントとなってきます。
いずれにしても、比較的体力のある動物には、12時間の絶水と24時間の絶食をさせます。
ただし、犬がどうしても水をほしがる場合には、氷を少量なめさせるとよいでしょう。これは胃の粘膜を冷やす働きもあります。症状の軽い場合は、スポーツドリンクなどを少量ずつ何度にも分けて与えることもできますが、吐いてしまえば逆効果となります。
治療の方法は原因によって異なります。異物を食べた場合には、まずその異物を吐かせても安全かを考えます。コインやビー玉のようなものなら吐かせても問題ありませんが、安全ピンや針などのように途中で引っかかって食道を傷つける可能性があるものは、吐かせてはいけません。
吐かせる場合には普通、食塩水を飲ませます。小型犬であればスプーンに約2杯、大型犬であれば5〜6杯与えます。吐かない場合や、吐かせると危ないときには、内視鏡の鉗子を用いたり手術を行って体内から取り出します。
急性胃炎は原因によって治療法が違いますが、いずれにしても、できるだけ早く対応しなければなりません。

●犬の慢性胃炎 まんせいいえん

胃の粘膜に慢性的に異常が見られる状態です。さまざまな原因によって起こり、症状も色々です。慢性胃炎は急性胃炎よりも少ないですが、急性のものから移行することもあります。
症状
必ずしも毎日ではありませんが、数週間にわたって間欠的によく吐きます。ときには食欲がなくなって体重が減ったり、水を大量に飲む事があります。また、貧血や腹部の痛みが認められる場合もあります。
原因
多くの場合、原因は不明です。急性胃炎が治らずに、慢性となってしまうこともあります。また、慢性の尿毒症がこの病気の原因となることもあります。一般には、胃の運動が鈍くなって胃の「うっ滞」が起こったり、幽門の働きが悪くなるなどして胃の出口が塞がれることが原因で、慢性胃炎となります。
その他、胃壁の層全部に好酸球などの炎症細胞や肉芽腫などの炎症組織が広がったり、胃の粘膜が厚くなったり、胃潰瘍が起こったりして慢性胃炎になることがあります。まれには胃に腫瘍ができたことが原因になることもあります。
治療
それぞれの原因に合わせて治療し、腫瘍などの場合には手術して取り除きます。通常、慢性の胃炎には色々な食事療法を併用します。例えば、高繊維食、低脂肪食、抗アレルギー食などがよいでしょう。炭水化物を中心として、少量を数回に分けて与えることもあります。
ステロイド薬などを使用して、胃酸の分泌を抑えることもあります。

●犬の胃拡張・胃捻転 いかくちょう・いねんてん

胃拡張とは胃が異常に大きくなることで、多くは空気をたくさん呑みこんだり、胃の内部のガスが異常に発酵することによって起こります。胃捻転とは、胃内のガスが発酵して胃がねじれている状態をいいます。これらの症状は、鼓腸と呼ばれることもあります。
症状
もっともよく目立つ症状は、腹部がふくれて苦しそうになることです。その他にも、たまに嘔吐をする、ゲップをする、異物を食べる、水を大量に飲むなどの症状が現れます。また、元気も食欲もなくなります。ときには、よだれが大量に出る事もあります。
胃捻転の場合には、嘔吐しそうな動作をしても吐かないことがあります。
原因
これらの病気は、コリー、シェパードなどの大型で胸が薄くて深い犬によく見られます。しかし、ダックスフンドやコッカー・スパニエルなどの小型犬や中型犬にも認められることがあります。
胃拡張は、食べ過ぎや、胃の中にガスと液体がたまることによって引き起こされます。前者は若い犬に多く見られ、後者は老犬で起こりやすい症状です。胃拡張になると、胃に血液が流れにくくなります。胃拡張が慢性的になると、胃捻転が起こることもあります。
胃捻転は、食事をガツガツと早く食べ、なおかつその後に水を大量に飲むことによって起こりやすくなります。とくにドライフードを食べた後に水をガブガブ飲むとよくありません。また食べた後にすぐに運動をすると、さらに起こりやすくなるようです。
治療
なるべく早期に治療しないと多くは死亡します。これらの病気は緊急治療の必要な病気の代表的なものです。胃拡張の場合は胃にチューブを入れるか、入らなければ胃に太い針を刺して、胃の中のガスを抜きます。そして、起こっているであろう「ショック」の治療を行います。またこのとき、大量に輸液する必要があります。
胃捻転の場合は、治療はさらに難しくなります。外科手術が必要となるからです。
まずショック症状を治療し、その後に犬に麻酔をかけて開腹し、ねじれた胃を元の位置まで戻します。このときショックに対する治療を続けながら、すばやく手術を行う必要があります。
また、大量に輸液を行わなければなりません。さらに、心臓の働きが悪くなって不整脈になっていることが多く、血液が全身にうまく回らないことがあるので、それに対する治療も行います。
代謝性アシドーシスや低カリウム血症になることがあるので、血液の状態を調べながら治療を行います。
しかし、胃捻転は発見の時期が遅いと、どんな治療をしてもほとんどの場合に死亡するおそろしい病気です。

●犬の胃潰瘍 いかいよう

胃の粘膜が傷つく病気です。潰瘍になる少し前のただれた状態はびらんといいます。
症状
よく嘔吐し、胃からの出血によって吐いたものがコーヒー色になります。これを吐血と呼びます。色が黒っぽいものは血が古いからです(これに対して喀血というのは肺からの出血で、鮮血の真っ赤な赤色となります。これは非常に重症なので、できるだけ早く治療する必要があります。吐血も喀血ほどではありませんが、早く治療する必要があります。飼い主はこの区別を知っておくと役に立ちます。)。
また便に血が混じる、発熱する、腹の痛みなどの症状が見られます。まれには、潰瘍が深くなって胃に穴があき、急死することがあります。
原因
人間の場合、胃潰瘍はストレスに関係していると言われますが、犬では多くの場合、肥満細胞腫という腫瘍や、腎不全などが元になって発病します。その他にも、肝不全やショック、敗血症、低血圧、ある種の薬剤によって起こります。最近、人間では、胃潰瘍の直接の原因はピロリ菌という細菌のためだと判明したようですが、犬の場合は現在研究中です。
治療
まず原因になっている病気を治療します。腫瘍の場合は切除したり、腎不全の場合は症状に合わせて治療します。胃酸を抑えるための制酸薬やH2ブロッカーである抗ヒスタミン薬なども併用します。
症状が重いときや、再発の場合には、潰瘍の部分を摘出する手術が必要な場合もあります。

●犬の幽門の異常 ゆうもんのいじょう

幽門と呼ばれる胃の出口が何らかの理由でふさがったり、きちんと働かなくなったりする病気です。
症状
固形物を食べた後、30分〜2時間くらいたつと嘔吐します。吐いたものの多くは未消化です。ときには吐いたものを再び食べることもあります。嘔吐をたびたび繰り返すと、脱水や貧血を起こし、症状が重いときには体重が減り、死亡することもあります。
原因
ボクサーやボストン・テリア、シーズー、パグなどの短頭種によく見られる病気です。短頭種の犬を飼っている場合には、短頭種は吐きやすく、その原因の多くはこの病気だと覚えておくとよいでしょう。
幽門というのは、胃と小腸の間にある胃の出口の部分のことです。胃の内部に異物が入り込む、腫瘍ができる、胃潰瘍や胃炎、胃の粘膜が厚くなるなどの原因で、幽門管が狭くなったり、ふさがれたりすることがあります。また、仔犬にはじめて固形食を与えたときには、幽門が狭すぎて吐くこともあります。
治療
普通は幽門の部分を広げる外科手術を行います。しかし、場合によっては手術をせずに、メトクロプロミドなどの吐き気止めを与えるだけで、症状を抑えられることもあります。ただしこの方法は、ほとんど生涯にわたって治療を続けなければなりません。

●犬の出血性胃腸炎 しゅっけつせいいちょうえん

急性の下痢の症状のほかに、重度の出血をともなう病気です。病気の原因が体内の異常な免疫反応に関係していると考えられるため、急性の下痢症とは区別して考えます。
症状
この病気の最大の特徴は、黒いジャムのような暗赤色の血便をすることです。二次的な症状として嘔吐が起こったり、一部の犬では突然食欲や元気がなくなることがあります。
原因
年齢で見ると、2〜4歳の成犬に起こりやすい病気です。犬種別に見てもっとも発症しやすいのはシュナウザーで、ほかにも、ダックスフント、トイプードル、ポメラニアン、マルチーズなどの小型犬に多く見られ、大型犬の発症はまれです。
この病気は普段の食事や環境変化、ほかの動物との接触などの日常生活とはほとんど関係なく発病します。また発病する直前まで犬が全くの健康体であっても、発病後はときに非常に重症となり、死に至ることがあります。また、比較的元気に見えても急に死亡することもあります。
この病気の原因はいまだ不明ですが、異常な免疫反応に関係している可能性があります。ただし、現在も出血した腸からも病原は見つかっていません。
治療
出血性胃腸炎になると、細菌の侵入を防ぐ粘膜関門が失われます。そのため、細菌の感染を防ぐこと、体液をふつうの状態に戻すことが重要になります。
細菌の感染を防ぐには通常、抗生物質が仕様されます。また嫌気性菌に効くペニシリン等もよく用いられます。ショックの予防として、副腎皮質ステロイド薬などが使用されることもあります。
しかし、もっとも重要なことは、輸液などによって水分をおぎなうことです。
一応回復した後の管理としては、慢性の大腸炎(慢性結腸炎)と同じようにすると良いでしょう。これは投薬よりも食事のコントロールに基づいて行われます。繊維の多い食事を与えることが、この病気の再発を防止するのにいくらか役立つようです。
ただし出血性胃腸炎の原因は、免疫に関係しているという以外は未だによく分かっていないため、予防は不可能に近いものとなっています。

●犬の慢性腸炎(炎症性腸疾患) まんせいちょうえん

慢性腸炎の一種で、腸の粘膜が慢性的な炎症を起こす病気を炎症性腸疾患といいます。
症状
炎症性腸疾患とは、リンパ球やプラズマ細胞、好酸球、好中球などの炎症細胞が、腸の粘膜全体に広がって、慢性的な炎症を起こす病気のグループをいいます。このうちもっとも多いものは、リンパ球性腸炎をプラズマ細胞性腸炎が組み合わさったタイプの腸炎です。その他にも、肉芽腫性腸炎や好酸球性腸炎などがよく見られます。
症状は、嘔吐と下痢のどちらか、もしくは両方です。その他、腹がなる、口臭がする、よく水を飲む、尿の量が増える、元気がなくなるなどの症状が周期的に起こります。
原因
食べ物に対するアレルギーや腸内細胞の過剰増殖、リンパ肉腫(ガンの一種)、寄生虫など、色々な原因が複雑に作用して起こるようです。
治療
腸の粘膜を抑えるため、副腎皮質ステロイド薬の投薬が基本となります。最低でも、2〜3ヵ月間は続けます。ときには3〜6ヵ月で治療を中止できることもありますが、生涯にわたって治療を続けなくてはならないこともあります。
その他、寄生虫に感染している場合には、抗原虫剤であるメトロニダゾールなどと組み合わせて治療することもあります。また、リンパ肉腫などが原因になっているときには、抗ガン剤のアザチオプリンなども使用することがあります。
多くの場合は一時的に症状を抑えることはできますが、完治する例は少ないようです。消化器における一般的な食事療法も治療に必要になります。

●犬の下痢症 げりしょう

症状が激しい急性の下痢と、よくなったり悪くなったりする慢性の下痢があります。
症状
急性の下痢とは、2〜3日の間に繰り返し起こる下痢のことです。ときには全身の状態も悪くなります。これは多くの場合、体の水分が足りなくなって脱水症状に陥るためです。輸液をしないと死亡することもあります。
これに対して、慢性の下痢とは2〜3週間にわたる間欠的な下痢のことです。この間、便は柔らかくなったり、普通の状態に戻ったりを繰り返し、犬はやせたり貧血を起こす事もあります。
下痢にはいろいろな種類があるため、まず小腸に原因があるのか大腸に原因があるのかを見分けることが大切です。
小腸が原因となっている場合には便の量は比較的多くなります。また、このタイプの下痢はおなかにガスがたまるので、犬はたびたび匂いのあるガスを放ちます。小腸というのは栄養を吸収するところなので、小腸性の下痢の場合には栄養が吸収できずに体重がへったり、貧血が起こったり、体内のたんぱく質が少なくなったりします。
これに対して大腸性の下痢では血便が見られたり、便中に粘液がまじったりしていることが特徴です。また、大腸は水分を吸収するところなので、大腸性の下痢では水分が吸収されずに便がやわらかくなります。しかし栄養はすでに小腸で吸収されているので、体重の減少や貧血などはあまり見られません。
原因
食べ物や寄生虫、何らかの疾病によって起こります。
①食べ物
特定の食べ物に対するアレルギーが原因で下痢になることがあります。また、食べ物の中の毒素や細菌によって食中毒を起こして下痢になることもあります。
②寄生虫
大腸性の下痢では鞭虫の寄生によるものがよく見られます。また、原虫類に注意します。
③疾病
小腸性の下痢の原因としてもっとも多く見られるものは、小腸の炎症です。その他、リンパ管拡張症、腸内細菌の過剰過剰な増殖、たんぱく喪失性腸疾患、突発性絨毛萎縮など、下痢を引き起こす小腸の病気はさまざまです。
これに対して大腸の下痢の原因としては、慢性の結果炎がもっとも多く見られます。結腸というのは大腸の大部分を占める長く屈曲した部分で、ここが炎症を起こします。
治療
下痢の原因によって違いますが、絶食と輸液と下痢止めの投与が中心となります。まず、動物の状態によって1〜2日間、絶食させます。絶水は普通は24時間以内にします。脱水を避けるため、これは動物病院で輸液しながら行います。絶水中にあまりに喉の渇きがあるようなら、氷を少量与えます。
絶食後は、消化の良い食事をいつもの量の半分ほど与えます。動物病院などには、下痢の動物のために消化の良いゼリー状の食事がおいてあるので、利用すると良いでしょう。また、普段ドライフードを与えている場合は、お湯で柔らかくしてから与えると消化が良くなります。

●犬の腸閉塞 ちょうへいそく

症状
完全閉塞と不完全閉塞があります。完全閉塞の場合は必ず嘔吐が伴いますが、不完全の場合はともなわないこともあります。食欲の低下や嘔吐が続き、食べたものを吐いてガスにより腹部が膨張し、下痢をおこします。この状態が長く続くと、脱水症状をおこすこともあります。
原因
石、ボール、おもちゃなどの異物を誤飲したことによっておこります。まれに、腸捻転、寄生虫などが原因ともなります。

●犬の腹膜炎 ふくまくえん

症状
発熱、嘔吐が主で、腹部を触られるのを嫌がったり、腹部がはれた感じに見えます。
原因
胃や腸の内側に穴が開き、中のものが腹腔(ふくくう)内にもれ出した時や、腹部に何かが刺さったことが原因です。

●犬の大腸炎(大腸性下痢) だいちょうえん

症状
水っぽい、粘膜状の便を少量づつ何回も出します。
ゼリー状の粘膜が付着した便や血液が混じることもあります。
原因
細菌や寄生虫の感染、食べ物アレルギーや免疫的なものによっております。

●犬の肝炎 かんえん

症状
嘔吐、下痢、多飲多尿、においの強い粘土色の便と同時に、目や口の中、体の各所が黄色くなる黄疸(おうだん)があらわれます。黄疸が出た場合は、病気がかなり進行して危険な状態です。
原因
ウィルスや細菌の感染、中毒などによって、肝臓に障害を受ける病気です。

●犬の肝硬変 かんこうへん

症状
何となく元気がなく、やせてきたと感じます。ひどくなると、食欲不振、痛み、黄疸などがあらわれ、死に至ることもあります。
原因
肝臓に繊維細胞が増えて硬くなり、肝細胞がゆっくりと壊れて肝機能が低下します。フィラリア症の末期にも見られます。

●犬の急性膵炎 きゅうせいすいえん

症状
食欲不振、下痢、激しい嘔吐やショック症状をおこします。悪臭のある下痢には血液が混じり、激しい腹痛により横になることができません。ひどくなると死亡する場合もあります。
原因
膵液(すいえき)の働きが活発になり、膵臓自体が消化されてしまう病気です。
高脂肪の食事、肥満、高カルシウム血症や尿毒症などの疾患とみなされています。
脂肪分が多い食事をとっている、肥満した中年齢層の犬に多く発症します。

●犬の膵外分泌不全 すいがいぶんぴふぜん

膵臓に何らかの障害が生じて酵素が十分に分泌されないため、犬が消化不良を起こしてやせていきます。この病気は膵炎とは違います。膵炎は膵臓の内分泌の病気です。
症状
たくさん食べているのに体重が少しも増えずに痩せている、色々の食べ物を漁ってたくさん食べる、自分の糞を食べてしまう、くさった油のような臭いの便をするというのが、この膵臓分泌の特徴です。
つまり、いつも大量に食べているのに体重が増えず、たくさんの便をします。
原因
大型の犬に多く発病が見られます。
2歳未満のジャーマン・シェパードがかかりやすいと言われ、ミニチュア・シュナウザーもよくこの病気になります。
膵外分泌不全は、慢性膵炎や膵臓の萎縮などがもとで、膵臓から正常な消化を行うのに必要な酵素が十分に分泌されないことに起因しています。
その為に膵臓の酵素を受け取る小腸では栄養物を九州できなくなり、犬は消化不良となって体重が減ります。
治療
栄養バランスを取ることを心掛けましょう。
方法としては不足している膵臓の消化酵素を補給し、不足している膵臓の酵素を食事に混ぜて与える形が一般的です。
この方法にあまり効果が見られない際は、シメチジンと呼ばれるH2ブロッカーを使用してみましょう。
消化管の内部で細菌が繁殖しているときには、抗生物質なども効果的です。
食事の際は、低脂肪の消化しやすい食事などを一日に数回、少量づつ与えます。
毎週体重を測定して、体重が増えているかどうを確認することで状態の変化を記録しましょう。
大体治療開始から一週間程で、脂肪便とくさった臭いの便はほとんど無くなるはずです。
しかし一部のイヌは全ての治療をしてもなかなか回復しない事があります。

●急性腎不全

激しい脱水症状が起こる
腎臓が急に平常な働きをしなくなり、そのために身体にとって有害な物質を排泄できなくなることがあります。
このような状態を急性腎不全といいます。
症状
食欲がまったくなくなり、嘔吐や下痢、脱水などの症状が見られます。
脱水症状は深刻なこともあります。
ひどい時には口内も乾燥してパサパサになります。また、老廃物が体内に大量にたまって尿毒症を引き起こすこともあり、それが進行すればけいれんなどの神経症状が出ます。
人間の急性腎不全では無尿期や乏尿期があり、尿の量が極端に減少することがありますが、イヌでは尿量が極端に減少することはあまりありません。
また、人間では回復期に多尿となることがありますが、イヌではあまり見られません。
急性腎不全になると、たんぱく質を代謝したときにつくられる窒素化合物(非タンパク体窒素)をうまく排出できなくなり、血液中の窒素化合物の濃度が上昇する高窒素血症になります。
また多くの場合、血液中のカリウムやカルシウム、リンなどの濃度が異常になります(血液電解質の異常)。
特に、尿の量が減少したり、尿が排泄されない時には、血液中のカリウムの濃度が高まり(高カリウム血症)、心臓に障害を起こすほどに危険なレベルまで上昇することもあります。
また、血液が酸性に近づく代謝性アシドーシスになります。

●犬の肛門嚢炎(肛門腺炎)こうもんのうえん

症状
軽症のうちは、おしりを地面や床にこすりつけたり、頻繁になめたり、自分の尾を追いかけたりします。重症になると肛門嚢(肛門の両側にある袋状の小さな嚢)がはれて、破けて痛みが生じます。さらに細菌に感染すると化膿したり、膿瘍(のうよう)となって膿(うみ)や血液を排泄します。
原因
肛門嚢は左右に二つある、特有のにおいのある分泌物を出す袋で、マーキング(においつけ)に必要な器官です。便に固有のにおいをつけたり、恐怖や危険を感じた時に分泌物を排泄する犬もいます。肛門嚢に細菌が入って炎症が生じ、排泄口がふさがって排泄されないため、分泌物が異常に濃くなったり、化膿したりします。

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