■「病原微生物」というアイデアの誕生
 
 瀉血療法はつい最近まで西欧において根強く残って
 いたのですが、17世紀になると、体液病理学説とは
 違う考え方が芽生えてきました。

 なにか目に見えない小さな生き物、すなわち微生物こそが
 疫病の原因なのではないかと言うアイデアです。

 ちょうど同じころ、偶然なのか必然なのか、タイミングよく
 顕微鏡が誕生しました。

 長く人類を苦しめてきた病原微生物を突き止めるべく、
 顕微鏡の倍率が日々改善されていったのです。

 しかし残念ながら「これだ!」という病原微生物が発見
 されるには200年以上の月日がかかりました。

 やがて19世紀、結核とコレラ新たな疫病が流行り、
 あたかも14世紀の西欧をペストが襲ったかのような
 悪夢の再到来でした。

 そして19世紀末になると
 ドイツのロベルト・コッホ(1843~1910)によって、
 ついに結核菌とコレラ菌が発見されたのです。

 この発見が火種となり
 次から次へと病原微生物が明らかになりました。